これは、歴史の彼方にしまい込んではならない事実なのです。
「ドン」とは、ピカドン、原子爆弾のことです。
1945年8月9日、午前11時2分、アメリカ軍B29爆撃機が投下した
原子爆弾が、長崎上空で炸裂、、、
語り継がれる被爆体験、今もなお続く被爆した人々や
家族の苦しみ、悲しみ。
では、聞こえない人々はどうだったのでしょうか。
ピカドンの「ドン」が聞こえない人々は原爆をどう体験し、
その人生はどうだったのでしょうか。
戦後40年の歳月が過ぎようとしていた、1984年、
全国手話通訳問題研究会 長崎支部による、体験の聞き書きの
取り組みが開始。
残像そのものとして脳裏に深く刻まれた、あの悲惨な光景を、
悲しみとともに逞しく生きてきた人生を、その手はようやく語り始めました。
数年かけて行われた聞き取りの様子は、1991年に写真集
「ドンが聞こえなかった人々」(豆塚猛著 図書出版文理閣)として出版。
証言者36名の語る手、今日までを見つめてきた深い瞳。
はじめてこの写真集を手にしたあの日から、伝えたい、
伝えなければならない思いが溢れ、自分にできる何かを探し続けています。
私のこの手が、真実を語り継ぐ手となれたなら、、、
今を生きる、未来を生きる私たちにできることが必ずあると信じて。